エリザベート・ブラントルシュ
登場作品:The king of fighters
The king of fightersではシリーズごとに主人公が異なり、そのシリーズのヒロインにあたる女性キャラクターもプレイヤーキャラとして登場します。これまでは三部作の二作目でヒロインが初めて登場してきていますが、エリザベートもアッシュ編のヒロインという位置づけでシリーズ二作のKOF11でライバルチームの一人として現れました。アッシュ編の敵である「遥けし彼の地より出づる者」を倒すことが彼女の一族の使命であり、KOFに参戦したのもその使命を果たすためですが、同じ一族の一人であるアッシュ・クリムゾンは前大会で神楽ちずるの力を奪い今大会でも八神庵の力を奪うという暴挙に出て、エンディングではアッシュに対して「使命を忘れたのか」と激高します。その彼女に対して「忘れた」とあっさりと言いのけ、ふざけた返事をして姿を消しました。
エリザベートとアッシュは幼馴染の関係で幼い頃、年上の彼女はアッシュに弟のように親しく接し大切な時間を共有してきました。特別な思いを寄せるアッシュの変貌に複雑な思いを抱きながらも一族の使命を果たすことに邪魔をするならこの手で彼を倒さなければならないと覚悟を決めてKOF13に参加します。
アッシュ編の完結編となった今作ではこれまで主人公とは思えない暴挙を行い敵であるはずの「遥けし彼の地より出づる者」とも協力関係にあるアッシュはエディットキャラクターになり主人公チームのメンバーから外されています。代わりにシェンウー、デュオロンとチームを組んだのがエリザベートです。ですから彼女はシリーズのヒロインでありながら今作の主人公でもあったともいえます。
お嬢様でありそのためか高飛車な言動をする彼女はステゴロ稼業をしていてワイルドな性格のシェンウーとそりが合わず、そのやり取りも楽しくありました。
ゲームでは大会で優勝チームが決まった後に「遥けし彼の地からやってきた者」が優勝チームの前に姿を現します。
そして、「遥けし彼の地より出づる者」のボスであり、アッシュと見間違えるほどに似た顔を持つサイキと闘うのですが、その闘いを終えた後、彼らにとって重要なものである扉に異変が起きたその瞬間、アッシュがサイキの背後に現れ胸を貫く一撃を打ちます。「やっとスキをみせてくれたよ」そう言い放つアッシュ。「遥けし彼の地より出づる者」と手を組み、これまでいくつもの暴挙を行ってきたのも「遥けし彼の地より出づる者」を倒すためだったのでした。
しかし、次の瞬間アッシュに異変が起きます。サイキに身体を乗っ取られてしまったのです。サイキはアッシュの先祖でありそのために乗っ取ることが出来たのです。サイキに支配されたアッシュは優勝チームと闘うことになります。その闘いに勝利して迎えたエンディングでは、サイキは闘いに敗れたものの、扉をくぐれば元の時代に戻れまたやり直せると言いその扉に向かおうとします。しかし、心の内にあるアッシュがサイキの行動を拒みます。なぜか扉が閉ざされようとしていき時間はありません(家庭用ではその理由も明かされます)。サイキはアッシュの先祖であり、サイキが死ぬことはアッシュの存在の消滅も意味します。それでもアッシュは扉に入ることを拒否します。
アッシュに対して、エリザベートは扉に入ってと叫びます。一族の使命を何よりも重要視してきた彼女がアッシュの命を何より大切にしたのです。「私、あなたを連れ戻しに来たのに!」アッシュの存在が消滅する危機に直面し、彼女は心の内に秘めていた思いを大声で伝えました。そんなエリザベートに向かってアッシュは「僕の存在はなかったことになる。みんな僕のことは忘れるから」そう言い残してアッシュの存在は消滅しました。
シェンウーとデュオロンは大会に優勝し満足げに会話を交わすものの、やることは終えたというのになぜか大会の地から離れようとしません。何か大切な者がその場にいない。そう心の内に感じていた彼らはずっとその場に居続けました。
そして、エリザベートは車で移動した後、一人になり悲しみにうちくれていました。
何よりも大切な存在だったアッシュ。彼の存在がなかったことになっても彼女はアッシュを忘れることはなかったのでした。
それがアッシュ編の結末です。とても悲しい結末を迎えたシリーズとなりました。
新章であるKOF14ではアッシュもエリザベートもプレイヤーキャラとして参加していません。しかし、オフィシャル招待チームのエンディングではフードを被った謎の男、ククリと共にエリザベートが姿を現します。彼女はククリに対して感謝の言葉を伝えます。そして、その場にあるアッシュの姿をしているエネルギーの塊のようなものを二人で見守っています。
果たしてKOF15ではアッシュが復活するのでしょうか。エリザベートは参戦するのでしょうか。新たな災いの種の存在を感じさせる今シリーズにおいてエリザベートはアッシュを復活させるために行動しています。アッシュ編で一族の使命を果たした彼女は新シリーズにおいて自分の思いを果たすために行動しています。目的が自分のために変わろうとも大切な人のために動くその一途な姿に眩いほどの尊さを彼女から感じずにはいられないのでした。
※このコラムは2020年に書いたもので、その後に発売されたKOF15でKOF13のラストでアッシュが消滅しアッシュの記憶をエリザベートが失っていたことが判明しました。KOF13のエンディングを見て感じた思いを綴ろうと書いたものですから、その時にゲームから感じた一ユーザーの思いとして楽しんで読んでいただけたらと思います。
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