バイス

 

登場作品:The king of fighters

 

 

The king of fighters96の新キャラクターの一人だったバイスですが、KOFに初めて登場したのは95でした。ルガールの秘書で中間デモで黒のスーツと地味な服装で目を瞑りお辞儀した絵で映っていただけだったので印象に残らず96の時にゲーム雑誌で彼女のプロフィールでルガールの秘書だったと書かれてあってもどんなだったっけと思い出すのが難しかったくらいでした。

 

しかし、96で八神チームの一員として現れた彼女はスカートの付いたドレスともスーツともいえるような奇抜なデザインの衣装を着ていて、地味だった印象が吹き飛ぶほど魅力的なデザインに見えました。相方のマチュアも同じく新キャラクターのレオナもスタイリッシュなデザインの衣装を着ていて、KOF94の時はまだ餓狼伝説や龍虎の拳のような実写映画のような雰囲気を持っていましたがKOF95で登場した八神庵が格闘家と思えないスタイリッシュな衣装を着ていて爆発的な人気を得て、新キャラクターの三人も同様にスタイリッシュな衣装にしたことでKOFがアニメや漫画の世界観へ完全にシフトした印象を当時は持ちました。 華のあるデザインに必殺技も切り刻むように無数の蹴りを放つアウトレイジや手を伸ばして相手を掴み後方へ投げ飛ばすディーサイド、掴んだ相手を地面に引きずりながら滑るように走り投げる投げ技のゴアフェストと個性的な技が揃っていて魅力的なキャラクターでしたが、ゲームセンターで稼働した当初はともかく二週間もするとゲームセンターでバイスが使われる光景は見られなくなりました。27人の使用キャラクターの中で群を抜いて弱い性能だったからです。しかもKOF96はシリーズの中でも最もバランスが取れていないといえる作品でバランス調整をしてないんじゃないかと思えるほどにキャラの格差があったことも追い打ちをかけました。コンパチキャラクターであるマチュアの方は吹っ飛ばし攻撃と必殺技のメタルマサカ―がとても強くお手軽に勝てる性能の強キャラクターでよく使用されていただけにバイスが残念でなりませんでした。またエンディングでは血の暴走を起こした庵に殺されてしまい悲運がいくつも重なったといえます。

 

案の定、翌年に販売されたKOF97では登場キャラクターから外されていました。せっかく作った新規キャラクターを一年で消してしまうあたりストーリー重視のKOFらしいといえばそうなのですが、魅力的なバイスが一年で消えてしまうのはやはり残念でなりませんでした。その翌年はオロチ編の総集編という位置づけでストーリーのない作品だったためにバイスは再び登場します。キャラの性能も強化が図られ新しい投げ技のブラックンドや体当たりから追撃が出来るメイヘムといった新技も加わりようやくゲームセンターでもバイスが使われる風景が見られるようになりました。とはいっても強キャラクターといえるほどではなかったのでそんなに多かったわけではないですが。しかし、新章が始まったKOF99では再び登場キャラクターから外されます。その後もストーリーのない総集編であるKOF2002で再び登場し翌年の新章で再び姿を消すという状況が続きました。

 

しかし、アッシュ編でオロチの封印が解かれたことでKOF13ではついにストーリーのあるタイトルで復活を果たします。しかし、KOF95に近いパンツルックのスーツである新コスチュームとなっていて個人的には物足りなさを感じました。その後もシリーズ初となる2・5Dで創られたKOF14でも八神チームのメンバーとしてマチュアと共に登場するバイスですが、この作品でもパンツルックでした。KOF13ではハイレゾのドット絵の制作工程があまりに時間がかかるためにその手間を減らすためにスカートでなくてパンツルックにしたとかKOF14では当時のSNKの開発技術では3Dでスカートを再現するのは難しかったためにパンツルックになったとかいろいろと推測は立ちましたが真相のほどは分かりません。奇抜な衣装のためにデザインを変えざるをえなかったとしたらその魅力的なデザインの代償という結果だったともいえます。バイスといえばKOF98と2002が好きという人は僕以外にもけっこういるのではないかと思います。

 

でも、僕の中でバイスが最も輝いて見えたのはKOF98でも2002でもなく、カプコンVSSNK2でした。カプコンとSNKのキャラクターが闘うまさにドリームマッチ。その夢の競演の登場キャラクターは概ね予想通りでしたが、一人だけ驚いたのがバイスの参戦でした。カプコンの開発スタッフは今までにない性能のキャラクターだからといった理由をバイスを選出した理由として上げていましたが、その言葉を見た時は改めてバイスの魅力を実感しました。

 

カプコンVSSNK1ではあまりバイスを使用しなかったのですが2ではプレイステーション2でソフトを購入したので思う存分バイスを使用しました。パワーボムで相手を地面に叩きつけ髑髏の柱が地面から上空へ起こる投げ技のネイルボムが追加され手が伸びるディーサイドは横だけでなく斜め上にも出せるようになり、メイヘムの追い打ちとして使用できます。この連携がかっこよすぎてそれだけでバイスを使いたくなるほどです。さらには投げ技のゴアフェストで上空へ投げた相手に追加入力でバイスが高く飛び上がって両足で相手を掴み地面に叩きつける新技トランキュリティーまで追加。あまりにかっこよすぎる独自の追加技の数々にバイスの制作を担当したのは元SNK社員だったのではないかという憶測までしてしまうほどでした。バイスへのキャラクターの愛に溢れている調整がなされていました。もしまたKOFでバイスが登場するならKOF96のようなスカートを着た衣装にカプコンVSSNK2にある新技も入れてもらえたらと願っています。

 

 

The king of fighters(KOF)のバイス

 

▬イラスト:sp_Xさん

         ※作者の許可を得てイラストを掲載しておりますので、イラストの無断転載は控えていただけますようお願いします。