シルヴィ・ポーラ・ポーラ

 

登場作品:The king of fighters

 

 

2015年にThe king of figthers14が開発中であることが発表された時は諦めかけていたKOFの新作がまた制作されることになって熱い気持ちになりました。ただその後にPVが定期的に上げられていくと、その動画のゲームの画面もキャラクターの動きもお世辞にもクオリティは高いとはいえず不安が増すばかりでした。

 

プレイモアは五年も対戦格闘ゲームの制作から離れていたし、その間はパチスロ事業とスマートフォンのアプリゲームに尽力していました。いくらディンプスで対戦格闘ゲームを作り続けていた元餓狼チームの小田氏が制作のプロデューサーとはいえ、ファンが満足するものは流石に無理なのでは……。ネット上でも微妙な空気が流れていましたが、その空気が変わったのはPVの第8弾、元がグリフォンマスクであるキングオブダイナソーを除けば実質初めての完全な新キャラクターといえるシルヴィ・ポーラ・ポーラが動画内で紹介されたことが大きかった気がします。

 

BURN TO FIGHTという文字だけが映された真っ黒な画面から聞こえてくる「びびっび~びっびっび~」という電波な響きの声。そこから姿を現したシルヴィはアイドル顔負けの派手で装飾に凝った可愛らしい衣装を着ていて、言動も見た目もすごくエキセントリック。インパクト十分でこれぞKOFというエッセンスに満ちたキャラクターでした。久しぶりにKOFらしさ溢れる新キャラクターを見てこれならこの開発スタッフ達に任せられるという気持ちになっていきました。

 

PVが上げられたその日、ゲームのニュースサイトでもシルヴィの紹介記事が載り、彼女がネスツの元一員だったことが分かりました。壊滅した組織の残党。あっ熱い……。開発スタッフの中心は元餓狼チームですが、KOFの過去の設定を積極的に活かしてくれてありがたくなります。シルヴィはネスツ時代は性能を発揮できずに役立たず扱いを受けていたもののその後に能力が開花したという設定で、これまで対戦格闘ゲームのキャラクターといえば自分の強さに自信を持ったキャラクターであることが普通でしたが、シルヴィは元ネスツの人造人間の前では怖がってしまったりしてびびりな面もあってそういうところも新鮮です。ネスツの残党ですが、KOF14のストーリーを見るかぎりでは今はもうネスツとは関係のない環境にいるようです。

 

その一方でメキシコチームのリーダー、ラモンとマキシマの試合前の会話のやり取りでは何やらラモンに不審な様子が……。

 

マキシマから今回は何の調査だと尋ねられるもラモンは今は純粋に試合を楽しんでるんだと返し、手加減してねとおどけてみせます。

 

うっ嘘臭い……。

 

ふざけた調子のラモンの言葉にマキシマはこう返します。

 

「人類最強の相手に手加減できるか」

 

えっ、ラモンが人類最強?  

 

何気ないマキシマの台詞ですけど、KOF14のラモンのプロフィールでも「最強の人類」と説明が書かれています。あまり知られてないことだと思いますが、KOF2001でラモンはラスボスであるイグニスと対峙した時にチームを組んでいた八神庵と共に最強の人間の候補に挙がっていたことが告げられています。八神庵は分かるにしても何でラモンも上がっているの? 

 

違和感を覚えるイグニスの台詞ですが、エンディングでも明かされることなく違和感を解消させてもらえずにネスツ編は幕を下ろしました。 実はラモンはKOF2000でもクーラに勝利すると「心配事なら片してやるよ。あんたのボスにそう言っときな」とネスツの内部に精通していることを匂わす台詞を言っており(注1)、エージェント機関の一員だけでない何か隠された設定が秘められていたようです。おそらく2000年に起きたSNKの倒産のごたごたの影響でKOF2001でラモンに秘められた設定の消化をすることが出来なかったのではないでしょうか。ラモンというとヴァネッサに惚れていて彼女には頭が上がらない印象が強いだけに意外な事実ですね。

 

そんなあまり広まっていないラモンの最強の人類候補という設定をKOF14では二度も文章として出してきました。ちょっと唐突な感もありますが、伏線は三度張れという言葉があるように、二度も出してきたということはこれは……匂う、何か匂うものが感じられます。

 

さらにラモンにKOF参戦の目的を尋ねたマキシマは南米チームのネルソンにも左腕に付けられた義手が気になるようで、どこで手に入れたと問いかけます。ネルソンは不慮の事故で失った左腕をある会社から最先端のロボット工学によって義手を提供されて格闘家として再起したという経歴を持つ男。しかし、エンディングではその提供してくれた会社にも不穏な気配が……。参戦の意図をはぐらかすラモン、全身が機械で出来た人造人間であるマキシマが抱く懸念、ネルソンに義手を提供する謎の企業……。その繫がりからはどう連想してもネスツしか思い浮かびません。

 

そして、KOF14のプロヂューサーである小田氏はネット上でのインタビューで、K9999について何か含みのある答えをしています。

 

ラモンとマキシマ、ネルソン、さらにこれまで聞かれるとSNKの開発スタッフは口を濁すしかなかったK9999にも参戦の目が。このネスツを中心として編まれた螺旋の先にあるものは何なのか? シルヴィもこの螺旋の渦に身を委ねる運命にあるのか? 悪の稼業から足を洗いラモンとチームを組んでいるアンヘルはこの先も真っ当な道を進むのか? というか個人的にはダイアナにも参戦して欲しいところ。

 

密かにネスツ関連の話も熱いKOFの新章です。

 

※注1:クーラに対する台詞について情報の十分な確認を出来てないことをご了承ください。

 

 

The king of fighters(KOF)のシルヴィ・ポーラ・ポーラ

 

                                            ▬イラスト:ぽち。さん(Pixiv link)          ※作者の許可を得てイラストを掲載しておりますので、イラストの無断転載は控えていただけますようお願いします。