鈴姫

 

登場作品:サムライスピリッツ

 

 

SNKが倒産し後継会社のプレイモアがSNKの看板タイトルを再び世に出していった21世紀の初め。SNK末期に3Dでの作品が続いていたサムライスピリッツもまた2Dで開発が再開されました。悠紀エンタープライズによる製作で、サムライスピリッツ零、サムライスピリッツ零スペシャル、天下一剣客伝とどれもヒットします。

 

こうなると、次世代機の機能を駆使してハイレゾのドット絵で創られたサムライスピリッツを見たい気持ちが高まっていきますが、プレイモアが発表したサムライスピリッツの新作は再び3D作品でした。新作のタイトルはサムライスピリッツ閃。すでにサムライスピリッツは三作、3D化したタイトルを制作してどれも不評で終わっています。嫌な予感しかしませんでしたが、その予感は的中してしまい、この作品も芳しい結果とはなりませんでした。

 

ゲームの開発を担当したのはK2で、当時僕はSNKの元開発スタッフが立ち上げた会社という情報をネットニュースで見たのですけど、それから10年以上が経ち、その方がThe king of figtersシリーズの生みの親である情報を偶然にインターネットで目にした時はとても驚きました。元々はアイレムでゲーム制作していてその後にSNKに移り、KOF以外にもラストリゾートを、彩京に移籍してからは堕落天使などの作品を開発したみたいです。どれも退廃的な空気が漂いつつスタイリッシュな世界観を備えていて、そういう情報を元に見てみるとサムライスピリッツ閃も画面の雰囲気は全体的に暗めでストーリーもどこか陰が射していてこれらの作品と通じるものを感じます。

 

まだこの時代の技術では2Dの対戦格闘ゲームを3Dにしてファンが満足するゲームを創るのは難しかったようで、もしプレイモアがK2に制作を依頼した時に2Dでの制作が実現していたら、KOFとサムライスピリッツの世界観の魅力が上手く融合したサムライスピリッツを見ることが出来たのかもしれないと夢想してしまいます。

 

しかし、サムライスピリッツはどのタイトルでも魅力的なキャラクターが生まれていった歴史を持っていて、この作品でもまた人気を集めたキャラクターが誕生しました。そのキャラクターは鈴姫で、サムライスピリッツシリーズで唯一の女性主人公です(今作は主人公が二人でもう一人は猛千代です)。名前には漢字で「姫」と入っているけれど、異人の血が流れていて、金色の髪に赤とピンク色を基調とした着物、武器はバスターソードと和と洋が合わさったデザインはとても秀逸です。おてんばな鈴姫と猛突直進な猛千代の若い二人の会話はどちらも勝ち気な性格でありながらもお互いを思いやっていて良いコンビに映り、この二人の関係の進展も気になるところです。2・5Dで新たに制作されたサムライスピリッツではDLCでシリーズのキャラクターが次々と登場していますが、もし鈴姫が登場したらどんな動きをみせるのか興味津々ですし、もっともっと多くの人に知って欲しいキャラクターです。

 

 

サムライスピリッツの鈴姫

                                                   

                                             ▬イラスト:影忍さん(Pixiv link)          ※作者の許可を得てイラストを掲載しておりますので、イラストの無断転載は控えていただけますようお願いします。