レイチェル

 

登場作品:マーシャルチャンピオン

 

 

ストリートファイター2が大ヒットし他のメーカーもこぞって対戦格闘ゲームを作った1993年。大手メーカーのコナミもその流れに追随しマーシャルチャンピオンを世に出しました。コナミといえばイーアルカンフー。1980年代半ばにアーケードゲームでヒットした元祖対戦格闘ゲームです。そのコナミが対戦格闘ゲームブームの今、そのジャンルの作品を出すとなったら期待せざるを得ない。と思った方がどれほどいたかは分かりませんが、イーアルカンフーを作ったコナミがどんな作品を出すのか気になったのはたしかです。 

 

マーシャルチャンピオンはイーアルカンフーとは全く繋がりのない世界でしたが、主人公の陣がどことなく中国拳法の使い手を連想させる服装をしているあたりはイーアルカンフーを意識していた部分もあったのかもしれません。キャラクターのグラフィックは比較的大きめでボタンは三ボタン。上段・中段・下段と割り当てられていました。独自のシステムといえばコンピューター戦が8名のトーナメント戦であることや武器を持ったキャラクターは武器と落とすことがあり武器を持ってないキャラクターがその武器を拾って使用出来ることでした。前者のシステムは大会に乱入するキャラクターが二人とボスキャラクターがいてもコンピューター戦は全部で6試合しかなく短いためマイナスに作用しているように感じられましたし、後者のシステムは武器を持たないキャラクター同士の対戦だと意味をなさず中途半端な印象は拭えませんでした。

 

ゲームとしてはヒットとなりませんでしたが、このゲームに出ていたレイチェルという女性キャラクターに人気が集まるという予期せぬ現象が起きました。その人気ぶりはアーケードゲーム専門誌のゲーメストの読者の投稿コーナー、ゲーメストアイランドでレイチェルアイランドという特別企画が行われたという伝説を持つほどです。レイチェルはアメリカ人の女性忍者で、金髪に白いハチマキを頭に巻き、黒いレオタード水着の上に青い胴着を羽織り黒いニーソックスを履いています。文字にすると全然魅力が伝わってきませんが、当時はよく分からんが癖になる魅力がある。そう感じさせるものがレイチェルにはありました。

 

今振り返ると、写実的なグラフィックが主流だった当時、マーシャルチャンピオンも硬派なデザインのキャラクターが占めていましたがその中でレイチェルはアニメのキャラクターのような雰囲気を出していたことも目を引く要因だったのかなと思います。とはいえそれだけで説明しきれないなんだかよく分からんが癖になる魅力があるのがやっぱりレイチェルの人気の秘密を語る上で一番しっくりくるような気がします。90年代前半に対戦格闘ゲームにはまった人たちの間では今もなお熱狂的な支持を集めるレイチェル。この一作で対戦格闘ゲームから姿を消すには惜しいキャラクターであることには間違いありません。

 

 

マーシャルチャンピオンのレイチェル

                    

                                             ▬イラスト:羽鳥さん(Pixiv link)          ※作者の許可を得てイラストを掲載しておりますので、イラストの無断転載は控えていただけますようお願いします。