アンヘル
登場作品:The king of fighters
angelと書いてアンヘルと読みます。エンジェルとは読まずアンヘルであるあたりThe king of fightersらしさが感じられる名前ですけど、スペイン語ではangeliをアンヘルと読むそうです。シリーズ初登場となったのはThe king of fighters2001。SNKが前年に倒産し続編が危ぶまれる中、例年夏だった時期が冬に遅れるもののSNKの後継的な会社であるプレイモアから販売されることになりました。ネスツ編のシリーズ完結編となるその作品で、主人公と敵対するネスツチームの一員という設定です。人造人間の製造に力を入れている秘密組織でアンヘルも人造人間ですが、見た目も技もそういう色はうかがえません。
青いビキニのブラとパンツの上に黒い革ジャンを纏い、ズボンタイプのチャップスのようなものを履いていて、髪型はショートカットの白髪で片目が前髪で隠れています。退廃的な空気を漂わせる独特の外見に、「私アンヘル19歳。ちょっとおちゃめな女の子」と言いながら相手をボコったり、「アンヘル様の妙技をとくと味わえ(某プロレスラーが元ネタですね)」と言いながら倒れている相手にエルボーをかましたりとおちゃらけた性格で一定の人気を得たと思われます。少なくとも私は大好きです。しかし、ネスツ編の総集編であるKOF2002に登場して以降は長らくシリーズのナンバリング作品に出ることがありませんでした。ネスツ編の敵役だったために新章のストーリーに絡ませづらいことや存在がなかったことにされたK9999の相棒役だったことも大きかったと思われます。
人気はあるもののシリーズに出なくなったアンヘルですが、新生SNKが制作した7年ぶりとなる新作KOF14でメキシコチームの一員として久しぶりの登場を果たします。これは人気キャラクターだから優先してというよりメキシコでKOFが人気があってそのファンたちの気持ちに応えるためにメキシコチームの登場が決まって、アンヘルがメキシコ人という設定だったためというのが大きかったと思います。もちろん人気キャラクターだからこそ出られたことにちがいはありませんが。ネスツ編では悪役でしたが、今作ではプロレスラーとして活動していることになっていてヒールキャラクターではなくなっています。
2020年の現在においてもそのスタイリッシュなデザインは古臭さを微塵も感じさせず輝きを放っていますが、このキャラクターの制作者はコタニトモユキ氏で、プレイモア(ブレッツァソフトだったかもしれません)を退社後は、ケイブで虫姫さまやイバラという縦画面シューティングのキャラクターデザインを担当してきました。ケイブを退社後は、個人で同人2D対戦格闘ゲームである「ヤタガラス」を制作。大正時代を舞台に忍者たちが闘うゲームでアンヘルをデザインした氏らしい退廃的でスタイリッシュな空気に包まれた魅力的な世界観となっています。「ヤタガラス」は同人ゲームでありながらその後、アーケードゲームで配信されるまでに人気を得るようになっています。
コタニトモユキ氏のように尖ったセンスを持った人材が全盛期のSNKにはたくさんいて、だからこそ今も愛されるキャラクターが数多くいて、そういう優秀な人たちがデザインしたキャラクターが集まっているからThe king of fightersやサムライスピリッツの新作が創られ続けているのではないかと思います。
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