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真鏡名ミナ

登場作品：サムライスピリッツ

今から１８年前になりますがサムライスピリッツシリーズが４年ぶりとなるシリーズ新作が制作されているとアーケードゲーム専門誌アルカディアで伝えられた時はとても喜びました。と同時にプロデュースがプレイモアであるものの制作は悠紀エンタープライズと書かれていて不安な気持ちもありました。それまで悠紀エンタープライズという会社を知りませんでしたし、森田将棋を制作したことがあると書かれていたもののその情報は不安が増すだけでした。格ゲー関係ないじゃん、そんな会社で大丈夫なのかなって。

しかし、ゲームセンターで稼働されるとそんな心配は杞憂に終わりました。７年前の天草光臨のバージョンアップ版という不満はあったものの、開発期間などの開発環境でだいぶ制約があった中で、サムライスピリッツの魅力が損なわれない調整がなされ新キャラクター４人も魅力あるものでした。

そんな思い出が残っているサムライスピリッツ零ですが、２０２０年に発行された「サムライスピリッツセレクション対戦攻略ガイド」という本でその当時のエピソードが詳しく書かれていました。当時、プレイモアからサムライスピリッツの新作を開発出来ないかと声をかけられたのが元SNK制作スタッフの高屋氏。SNK在籍時にサムライスピリッツシリーズの開発に初代から携わり、天草光臨では企画を担当したこともあるほどサムライスピリッツと関係が深い人物でした。高屋氏に声がいくのも納得ですね。

高屋氏は依頼を承るものの、その時はどこにも所属しておらずゲーム制作から離れてすらいてたった一人からの出発でした。高屋氏は自分のツテを頼り声をかけていきいろんな方の協力を得ていくことになりますが、格ゲー制作の経験のあるなし関係なく、またゲーム製作関係者以外の方からも幅広く協力を得ていきました。

その中にはなんと、知り合いである漫画家の和月伸宏氏も。和月氏にキャラクターのデザインの面でアドバイスを求めて相談したところ、その流れで氏はキャラクターデザインの制作を承ってくれることに。しかも、和月氏の紹介でサムライスピリッツの漫画を描いたことがある漫画家の内藤泰弘氏もキャラクターのデザインに参加してくれることになり、二人の人気漫画家がキャラクターデザインに携わります。当時、和月氏と内藤氏がキャラクターデザインを担当したという話がアルカディアに乗った時は驚きましたがそういう経緯があったのですね。和月氏はその作品の主人公となる徳川慶寅等を内藤氏は腐れ外道をデザインしました。悠紀エンタープライズもキャラクターデザインしますが、そのキャラクターが真鏡名ミナです。

悠紀エンタープライズは、開発立ち上げの中心となった高屋氏は絵を描くことは得意というわけではないと本人がインタビューの中で言ってましたし、その他の制作スタッフもそれまでゲーム開発を経験したことがない人たちもいて同人ゲームのような開発環境のようでもありましたが、ミナのデザインも二人の漫画家がデザインしたキャラクターに引けを取らない魅力的なものでした。琉球出身の妖滅師であり、武器はなんと弓。技の多くが飛び道具という仰天な性能です。デザインも褐色の肌に白髪、白を基調とした肌の露出が多めの服装でこれまでの女性キャラクターとはまた違った魅力があります。

しかし、エンディングは衝撃的なものでファンの間で物議が起こりました。エンディングの内容にはここでは触れませんが、インタビューでも零はストーリーで割と賛否両論があったことを踏まえた上での質問もしています。

その後、新生SNKにより十一年ぶりにサムライスピリッツの新作が開発されその作品に高屋氏は基本的には携わっていませんが元餓狼スタッフ達が中心に制作され、ミナもDLCのシーズン２で登場します。電撃オンラインが行った「追加してほしいキャラアンケート」では見事に一位に輝いたミナ。そんな人気キャラクターがシーズン１でなくシーズン２で登場というのもサムライスピリッツがいかに魅力的なキャラクターが数多くいるかと改めて思わされます。　

そして、十七年ぶりに正式なストーリーの付いた新作に登場したミナですが、今作はサムライスピリッツ零の後の物語。零で物議を起こしたエンディングを上手く展開させてくれて、ずっと胸の中にあったもやもや感が取れました。それまでサムライスピリッツの開発に携わってなかったスタッフが中心になって制作されましたが、キャラクターを大事にしようという思いが伝わってきて嬉しく感じます。今回の話は、「サムライスピリッツセレクション対戦攻略ガイド」を元に書きましたが、その他にもいろいろと興味深い話がたくさん載っていますのでサムスピファン必見の中身となっています。