港野洋子

 

登場作品:ラストブロンクス

 

 

1994年に発売されたバーチャファイター2がゲームセンター内に留まらず社会現象になるほどの人気を得て一大旋風を起こしてから二年。セガは3D対戦格闘ゲームの新作を次々と出していきます。ラストブロンクスもその一つでした。打撃系の武器を手にして闘う武器格闘ゲームですが、ストーリーは架空の東京を舞台にしたストリートギャングたちの抗争劇であり独自的な世界観でした。

 

登場キャラクター8人のうち女性キャラクターが3人いて当時の格闘ゲームで女性率は高かったですが、その中の一人港野洋子は、迷彩柄のアーミーパンツを履き、上は丈が短くフィット感のある青のベストを身に付けひさしにメタリックなパーツが付いた黒い帽子を被っていて、ストリートギャングというよりも武闘派な出で立ちをしています。

 

実際、洋子はサバイバルゲーム好きが集まるサークルG-TROOPSに所属していてミリタリー好きな少女にすぎないのですが、でもミリタリー好きな少女というのも珍しく、逆にミリタリー好きが少なくないと思われる男のゲーマーたちからは親近感が湧きやすい設定のように感じられました。ストリートギャングである他のキャラクターたちの多くが格好良い反面親近感は持ちづらかっただけに余計にそう感じるのでした。またその荒々しくも締まったファッションはゲームならではの格好ではなく実際にそういう少女がいそうで、でもやっぱり目にすることはないだろうという絶妙な匙加減を感じさせる魅力を洋子は持っていました。

 

洋子が所属するG-TROOPSは当初はサバイバルゲーム仲間で結成されたサークルでしたがその後、様々な軍隊格闘技を会得していき軍隊格闘技サークルへと変貌していった変遷をたどり、洋子も両腕にトンファーを握って闘います。打撃系の武器の中でも特に強そうに見えるトンファーを手にしている洋子はやはり出来そうな武人のオーラを放っていましたが、アメリカでは警察の武器にも採用されておりミリタリーファッションとの外見ともマッチしているように思えます。

 

G-TROOPSはリーダーである洋子の兄、拳が謎の組織RED RUMが開催する闇試合への参加を拒み続けていたために報復を受け重傷を負ってしまい、兄に代わって洋子がやむえず闇試合へと参加します。ラスボスとして登場するレッドアイは上半身は何も着ておらずその肌は赤く、メカメカしいゴーグルで目を隠した異様な出で立ちをしておりトンファーを両手に手にしていて洋子と同じ動きをみせる正体不明の謎の男です。エンディングでは洋子に抱きかかえられた中、レッドアイは「洋子か……俺は組織に操られていたんだ……」と言い、洋子が「兄さんっ!!」と悲痛な声で叫び、そこでスタッフロールが流れていき物語は幕を閉じます。ストーリーも実は洋子が主役なのでないかと思わせるほど重要な立ち位置に洋子はいたのでした。

 

ラストブロンクスはなかなかの人気を得ていたものの、続編が製作されることはありませんでした。MODEL2は基盤の値段が高く他のゲームよりも求められるハードルが高かったためかもしれません。投げ技の威力が高かったり荒さも目立ちましたが魅力的な世界観とキャラクターが登場するラストブロンクス。ゲーム性が改善されより進化したグラフィックの二作目も見たかった作品です。

 

 

ラストブロンクスの港野洋子

 

▬イラスト:人型4号さん(Pixiv link

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