レオナ・ハイデルン
登場作品：The king of fighters
The king of fightersのシリーズの中で最も盛り上がったのは９６と９７の二作が発売されたこの時期ではないでしょうか。９６ではオロチ一族の四天王ゲーニッツが登場し、９７では残りの四天王とオロチ一族の長が登場しオロチ編の完結を迎えます。
9６年と9７年のこの二年は世間ではアニメの新世紀エヴァンゲリオンがオタクの間だけに留まらず社会現象になるほどのブームとなった年でもありました。そして、KOFのこの二作を語る上でもエヴァンゲリオンを書かないわけにはいかないと思っています。
今更書くほどのことでもないと思われるかもしれません。
ユリの「あんた、ばか～？」という挑発に「サービスサービス」という勝ち台詞。
八神庵のMAX版八稚女での暴走状態。
この二作でSNKはKOFで様々なエヴァンゲリオンのパロディを取り入れてきました。その数の多さにKOF開発スタッフがエヴァンゲリオンから多大な影響を受けているのは一目瞭然であり、さらにいえば上記の影響はファンからの評判はあまり良いとは言えませんでした。ユリはユリであってアスカでもミサトでもありません。
しかし、KOFのストーリーが対戦格闘ゲームというくくりを飛び越えてアニメの領域に達したといえるほどの凝った創りになったのはエヴァンゲリオンという緻密に創りこまれたアニメが放送されその影響をKOFスタッフが受けたからではないかと思うのです。エヴァがあったからこそ緻密な設定、構成、演出を生み出すことが出来たのではないかと。
KOFオロチ編のストーリーと演出がよく出来ているのはファンの間では周知のことだと思いますが、主人公チームのストーリー以上に良く出来ていると感じるのが怒チームです。
９５で家族と部下の仇であるルガールを倒したハイデルンは司令官の立場で後方から作戦の指揮を取る役割に回り代わりにチームのメンバーに加入したのがハイデルンの養女、レオナ・ハイデルンでした。
幼いころに両親を何者かに目の前で殺されその時のショックで事件の記憶を失ったレオナはその後、ハイデルンに引き取られ育てられました。感情の機微が少ないのは幼いころの事件の影響であるところが大きく、饒舌なラルフと違って口数も少なく喋っても片言であることも多いです。
怒チームのメンバーとして大会に出場したレオナですが、大会優勝後に主催者である神楽ちづるを殺すために現れたオロチ一族の四天王の一人ゲーニッツに話しかけられます。
「久しぶりですねお嬢さん。八年ぶりですが覚えておいでですか？」
レオナにゲーニッツを見た覚えはありません。しかし、八年前といえばあのことに他なりません。
家族が全員殺害されたあの時のことに。
レオナの反応から事態を察したラルフは、「レオナの家族を殺したのは貴様なのか」 と問い詰めます。
しかし、ゲーニッツの口から告げられたのはそれ以上の衝撃的な事実でした。
「家族を殺したのはあなたですよお嬢さん」
私はあなたを覚醒させその手助けをしたに過ぎないと。
そして、レオナにもゲーニッツと同じくオロチ一族の血が流れていることも明かされ、決戦を迎えます。
怒チームによって倒されたゲーニッツは自害を選び吹き付ける風と共に消滅します。 しかし、自身の手で家族を殺してしまった事実を知ったレオナは呆然自失の状態でいます。
そんなレオナにラルフは「こんな時はぱ～と忘れちまえばいいんだよ」と慰めの言葉をかけますが、クラークは「そんなことで忘れられるわけないでしょう」と呆れかえります。クラークの反応にラルフは喧嘩売ってるのかと返し、二人は喧嘩を始めます。クラークの関節技が極まって「お前の方が正しい」と技を解くことを願うラルフにクラークは「お前？クラーク様と呼んで頂きたいですね」と言いラルフは「うわ～！クラーク様～！」と叫びます。二人のコントのようなやり取りを見て俯いていたレオナも口元を緩ませます。クラークの関節技をまだ受けながらもラルフは優しく言います。
「お前、その方が感じいいぜ」
これが９６の怒チームのストーリーです。こうして久しぶりに振り返るとある記憶が蘇ってきます。格闘ゲーマーにとって夏の風物詩といえばKOF。アニメが好きな少年にとっての夏の風物詩といえばルパン三世テレビスペシャル。毎回異なるヒロインが登場しルパン三世が彼女を助け背中を見せて去っていくあの姿とラルフとレオナの関係がリンクするのです。KOFのストーリーがルパン三世テレビスペシャルに匹敵するくらい心に響く領域に達したのが９６年だったのではないかと私の胸の中には刻まれています。そして、KOF９７は９６以上のストーリーの盛り上がりを見せますのでまだプレイしたことがない人はぜひ怒チームでプレイしていただけたらと思います。
