源柳斎マキ
登場作品:ファイナルファイト2、ストリートファイターゼロ3アッパー
特攻くのいちこと源柳斎マキ。彼女が格ゲー好きの間でその存在が広まったのは対戦格闘ゲーム初参戦となるカプコンVSSNK2でした。横スクロールベルトアクションだったファイナルファイト2以来のゲームでの登場です。
しかし、カプコンVSSNK2では「手加減なんてしねえぞ」と荒々しい口調で試合前に相手に言ったりヤンキーのような言動が目立つキャラクターになっていました。こんなキャラクターだったけ?という違和感があって、僕はファイナルファイト2を当時リアルタイムで購入してプレイしていたのですけど、まだ子供だったこととゲームの説明書をろくに読まずに遊んでいたことにくわえてゲームの出来もあまりぱっとしなかったこともあってマキの印象も深くは残りませんでした。金髪でガイと同門の女忍者であるというくらいの認識でした。しかし、思い返してみるとストリートファイターゼロ2のさくらを主人公にした中平正彦の漫画「さくらがんばる!」にマキは登場していて、そこではヤンキーのような振る舞いをしていました。だから、中平正彦が独自にヤンキーという設定を付け加えてカプコンがカプコンVSSNK2でその設定を導入したのかとも思っていたのですけど、今回コラムでマキを書くにあたってファイナルファイト2の資料を読み返してみると、元暴走族であったことがその時すでにプロフィールで書かれていました(ゲームがもう手元になかったのでゲーム雑誌からの情報です)。長年気になっていたことが分かってすっきりした思いです。その他に目に付いた設定で、同門のガイに恋心を抱いていることも書かれています。
この設定はカプコンVSSNK2の後に開発されたストリートファイターゼロ3アッパーで活かされています。 武神流の継承者がガイであることに納得いかないマキはガイとの闘いを求めガイを探す旅に出ます。その旅の道中の過程で悪の組織シャドルーの総帥であるベガと闘い追い詰められます。絶体絶命のピンチを救ったのはガイでした。ベガを倒しガイは多くを語らずまたマキの元を去っていきます。ガイを武神流の継承者として認められずにガイと闘うために始まった旅。でも、彼女は気付いていないですが、その根底にあった思いはガイを好きだからガイに認められたくて追い求めて旅立ったのではないかと思います。
ファイナルファイト2ではヤンキーであることもガイを好きであることもゲームをプレイしているだけでは分かりません。しかし、マキがガイに恋心を抱いていることを理解した上でゲームをプレイするとこのゲームの印象もまた違ったものになってきます。 父であり武神流の師匠でもある源柳斎と姉のレナが壊滅されたはずのマッド・ギアによってさらわれます。自分にとって最も大切な存在である肉親の二人を人質に取られ命の危機にさらされている。しかし、マキが最も頼りにしているガイは側にはおらず修業の旅に出ていて連絡も取れません。そもそもこの状況の元となったのはガイがマッド・ギアを壊滅したことにあります。さらにいえばレナはガイの婚約者であり、ガイが真っ先に救出に行くきべき立場なのに肝心のガイはこの事態を知らない。何やってんだよガイ。マキがそう思ったかは分かりませんが、そう言わずにはいられません。でも、マキがそう思ったとしてもマキの性格からしてすぐに気持ちを切り替えたのではないかと思います。
一人でこの窮地を抱え込むマキ。その時、頭の中に出てきたのがアメリカのメトロシティで市長を務めるハガーの存在。マッド・ギアと敵対しガイと協力して壊滅させた人物。それまでマキとどの程度交流があったかは分かりませんが、日本とアメリカという距離を考えるとそれほど交流があったようには思えません。ハガーという人物をどの程度知っていたのかは分かりませんが、マキはハガーに電話で事情を伝えます。ハガーもかつてはマッド・ギアに最愛の娘を人質に取られたことがあり、マキの今の気持ちは痛いほど伝わってきたのではないでしょうか。怒りの感情を露わにし、マキの指定した香港で落ち合うことを約束します。ハガーの元で居候していたカルロス宮本とたった三人で新生マッド・ギアに立ち向かうのでした。
ややコミカルなストリートファイターゼロ3アッパーと違いシリアスでハードな雰囲気に満ちたファイナルファイト2。それは前作から受け継がれた世界観でもあるのですが、1と違うのはそこにマキのせつない思いが潜んでいることです。当時、ファイナルファイト2は高い評価をされませんでしたが、マキというキャラクターを知る上ではやはり必要不可欠なゲームだと思います。
▬イラスト:sp_Xさん
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