ビリー・カーン

 

登場作品:餓狼伝説

 

 

餓狼伝説の最新作City of the wolvesに参戦することが決まりサプライズを起こしたビリー・カーン。新生SNKになってからThe king of fighters14、The king of fighters15に続いて三度目の参戦となりました。主役でもボスキャラクターでもない脇役ポジションのビリーが三度も登場することになったのですからこれはもう名脇役の証左といってよいでしょう。

 

新生SNKになってからの三作品ではいずれもコスチュームが違っていて、新しいコスチュームを見るのも一つの楽しみになっています。振り返れば1990年代の第一期SNK時代もバージョンアップ版ではない正史を辿った餓狼伝説タイトルでも毎回違うコスチュームで登場してきました。しかもマイナーチェンジに留まらない毎回毛色の違う服装での登場です。そこに新たに三種類もコスチュームが増えて、当時から感じてはいたものの、ビリー=お洒落さんのイメージが完全に定着した感があります。

 

しかし、ここ最近ビリーのコスチュームを見るごとにある種の疑問がふと出てきました。コスチュームが変われば変わるほどにビリーはそのキャラクターに最も適したコスチュームのデザインが生み出されてこなかったともいえるのではないか? そんな疑問を持つのはうがった見方でしょうか……。ビリーはコスチュームの最適解を出せていない?

 

人気キャラクターのビリーにそんなことがあるわけないとも思えるし、テリー・ボガードのような赤いキャップに赤のジャンパー、青色のジーパンといったぱっと浮かび上がるコスチュームがないと思えばそうとも言い切れなくなるし……。

 

そんなことが果たしてあるのでしょうか……?

 

そこで歴代のコスチュームを振り返ってみたのでしたが、少なくとも正史を辿る餓狼伝説のビリーのコスチュームは毎回これだっというコスチュームで現れてくれたという記憶が僕の中で蘇ってきました。その中でも最もビリーのキャラクターとマッチしているのは初代餓狼伝説のオーバーオールじゃないかと僕の印象ではあるのです。

 

デニム素材のつなぎ服であるオーバーオールに赤色と黄色のボーダー柄のバンダナ、手には六角棍を握りラスボスであるギース・ハワードの一つ前である中ボスとして登場してきた初代餓狼伝説のビリー・カーン。

 

ギース・ハワードが経営する鉄工所で働いていたビリーは仕事仲間との些細ないざこざから鉄パイプを持って大暴れし、工場の全機能をストップさせたことがありました。その事件でギースに無茶苦茶な暴れっぷりと棒術の才覚を見込まれて、スカウトされることになります。初代餓狼伝説ではギースの用心棒という立場でした。

 

しかし、ギースは餓狼伝説ではテリー・ボガードとの闘いの末にビルの最上階から転落、死亡してしまいます。それから一年後の、餓狼伝説2では八人のプレイヤーキャラ達との闘いの後にまたも中ボスとしてビリーはプレイヤーの前に姿を現しました。

 

八人のプレイヤーキャラ達の闘いを終え、一段落したところで、マイケル・マックスやホア・ジャイがストリートファイトでマントを羽織った正体不明の男に倒されるという衝撃の映像が見せられた後でのまさかのビリー・カーン再登場。同じくギースの配下であったライデンは改心しビッグ・ベアと名前を変えて正統派のレスラーになったのに、ビリーは今も悪の側にいたことが判明し、新たなる闘いは俄然ヒートアップしていきました。

 

餓狼伝説2のラスボスはヴォルフガング・クラウザー。ギースが表社会の悪の帝王であるのなら、クラウザーは裏社会を支配する闇の帝王。ビリーはクラウザーの部下として三闘士の一人に立場を変えていたのでした。

 

ビリーはこの闘いではユニオンジャック柄のノースリーブのシャツを着ています。代名詞であるバンダナは赤色と白色の柄に、手にする武器は六角棍から三節棍へ変わっています。

 

新たなる闘いでクラウザーはテリーとの闘いの末に命を失ってしまいます。世界規模となった狼たちの闘いも終わったのでした。

 

表社会だけでなく暗黒界の帝王も倒され、社会の秩序が取り戻されたように思われましたが、次作餓狼伝説3では死んでいたはずのギースが生きていたことが判明します。そして、その次の作品であるリアルバウト餓狼伝説ではギースが再びキングオブファイターズを開催し、餓狼伝説最後の闘いが始まりました。

 

この闘いでビリーはギースの配下に戻り再び参戦します。実はクラウザーの部下になっていたのは、ギースがテリーとの闘いで重症を負った間、暗躍することが予測されたクラウザーを監視する使命をギースから受けていたからでした。ギースを裏切っていたわけではなかったのです。

 

リアルバウト餓狼伝説ではビリーは濃紺のレザー服を上下に着用しての登場となりました。もちろん、頭には赤色と白色の柄のバンダナを巻き、手には三節棍を持っています。

 

ビリー・カーンは登場する作品ごとに自身の立ち位置が変わっていきました。それは己の意思ではなくすべてギースの指令によるものでしたが、その立ち位置の変化と共にコスチュームも変える必要があったのではないかと思います。

 

ギースの用心棒であった初代餓狼伝説ではデニム柄のオーバーオール。ギースの部下とはいえ街のストリートファイターに過ぎなかったビリーはその後に裏社会を支配する闇の帝王であるクラウザーの部下になりました。三闘士の一人になったビリーはドイツの貴族であるクラウザーに合わせて自身も紳士的な雰囲気を備えたコスチュームへ変えました。イギリスの時計塔というステージでイギリスの国旗があしらわれたユニオンジャック柄の新コスチューム。アメリカ出身だったのにイギリス出身に公式にプロフィールが変えられるという、神の気まぐれ、いえ開発者の気まぐれまで起こり、ビリーは紳士的な雰囲気をその場だけではなく永続的に持つようになるのでした。

 

そして、クラウザーの死後はギースの元に戻り、再びギースの側でボスを守ろうとしていきます。ライデンもホア・ジャイも宿命の闘いの後に更生し離れていったのに、ビリーだけはギースに忠誠を尽くしてきました。ビリーはこの時もうギースの用心棒だけではないギースには欠かせない側近、ギースの右腕となっていました。もう街のストリートファイターではなくなっていたビリーにオーバーオールは相応しい衣装ではなくなっていたのでした。アメリカからイギリスに出身地も変わったビリーには、ぴたっと密着した素材で重厚感のあるレザー衣装が最後の闘いにおける相応しいコスチュームだったのかもしれません。

 

あれから30年という月日が経ち、餓狼伝説の最新作、City of the wolvesで再び参戦することになったビリーは彼の代名詞であったバンダナを脱ぎ、サングラスをかけ、紺のジャケットに黒いズボンを履いた新たなコスチュームでの登場となります。ギースの亡き後、ハワード・コレクションのトップに立っていたことが判明し、ビリーはさらに立場が上がっていました。最新作でも立場が変わり、コスチュームも変えることになったのでした。

 

個人的には初代餓狼伝説の3Dリメイク作品である餓狼伝説ワイルドアンビションでの黒地に黄色のラインが入ったジャージ風のコスチュームもスタイリッシュで好きです。このコスチュームをもう一度見たいのですけど、マイナータイトルだけにこの声は少数派にちがいなく実現性は低そうなのが残念です。でも、もはや餓狼伝説には欠かせない名脇役となったビリーですから、ビリーだけでも最新作のCity of the wolvesでは餓狼伝説の歴代コスチュームがDLCで配信されたらと思うのでした。いかがでしょう? なんせビリーは洒落者ですから。

 

 

  

▬イラスト:まけいぬさん(Pixiv link

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